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タックル・道具

釣った魚とイカをさばく包丁とまな板|出刃1本と木のまな板で足りる理由

釣った魚とイカをさばく包丁とまな板|出刃1本と木のまな板で足りる理由

釣りは、船を降りてからが本番です。

家に帰ってクーラーボックスを開けて、そこからが下処理。眠い目をこすりながらイカのワタを抜いて、青物を三枚におろして……という時間が待っています。

このとき道具が合っているかどうかで、しんどさがまるで変わります

前に釣ったイカの保存方法の記事を書いたときに、「包丁とまな板の話は長くなるので別記事にします」と予告しました。今回がその記事です。

先に結論から言うてしまいます。

木のまな板の上に置かれたブリと堺孝行の出刃包丁
ジギングで釣った青物。ここから下処理が始まります

結論:出刃包丁1本と木のまな板があれば足ります

私が釣った魚とイカに使っているのは、この4つだけです。

  • 出刃包丁(堺孝行 イノックス出刃 150mm)
  • 木のまな板(400×200mm)
  • #1000の砥石
  • ウロコ取り(ホームセンターの安いもの)

これだけです。柳刃(刺身包丁)も持っていません。刺身を引くのも出刃1本でやっています

実は家には牛刀とペティナイフもあります。でも釣った魚とイカには一切使っていません。使う必要がないからです。

包丁の紹介記事を読むと「出刃・柳刃・ペティを揃えましょう」と書いてあることが多いですが、釣った魚を家でさばくだけなら、そこまで要らんというのが5〜6年やってきた私の実感です

牛刀とペティナイフ
牛刀とペティも持っていますが、釣り物には使っていません

私が使っている出刃包丁:堺孝行 イノックス出刃 150mm

5〜6年前に買った、堺孝行のイノックス出刃包丁です。刃渡りは150mm、素材はステンレスモリブデン鋼。当時15,000〜18,000円くらいだったと思います。

刃に「堺孝行」の銘が入った出刃包丁
刃に入った「堺孝行」の銘

作っているのは大阪・堺の青木刃物製作所さんです。

実は私、新卒で入った会社が大阪・難波の道具屋筋にある店舗で、そこで和包丁を売っていました。青木刃物製作所さんの鍛冶場で、実際に鍛造しているところを見学させてもらったこともあります。目の前で鋼が真っ赤になって、形になっていくのを見てしまうと、やっぱりここのを使いたくなるんですよね。

なぜ150mmを選んだのか

これは、なんとなく選んだわけではありません。

基準にしたのは「イカ」ではなく「魚」のほうです。ジギングで釣った青物や、タイラバで釣ったマダイを三枚におろすのに、どのサイズが一番扱いやすいか。当時の仕事で得た知識に加えて、ネットやYouTubeでも調べて、総合的に考えて刃渡り150mmという結論になりました。

家庭で使う出刃としては、150mm前後が扱いやすいサイズです。これ以上長いと取り回しが悪くなりますし、短いと大きい魚に対応できません。

そして結果的に、イカもめちゃくちゃ捌きやすかったんです。魚基準で選んだ1本が、そのままイカにも使えました。

まな板に並べた釣ってきたケンサキイカと出刃包丁
釣ってきたケンサキイカ。この日はプラスチックのまな板を使いました

ちなみにイカの皮は、包丁を使わず手で剥いています。冷凍したイカは皮が剥きやすくなるので、無理に包丁を入れる必要がありません。このあたりは釣ったイカの保存方法の記事に詳しく書いています。

⚠️ 出刃は片刃。「右利き用」「左利き用」があります

ここは買う前に必ず知っておいてほしいところです。

牛刀やペティナイフのような洋包丁は「両刃」で、刃が左右均等に削られています。だから右利きでも左利きでも同じように使えます。

でも、出刃包丁のような和包丁は「片刃」です。刃の片側だけが削られた作りになっています。

刃を立てて片刃の形状が分かる出刃包丁
刃先を上から見ると、片側だけが削られているのが分かります

そのため、和包丁には「右利き用」と「左利き用」があります

ここを間違えると、刃がまっすぐ入らず、身が斜めに切れてしまいます。せっかくええ包丁を買っても、力の入れ方が合わずに使いにくいままです。

通販で買うときは特に注意してください。商品ページで「右利き用」「左利き用」の表記を必ず確認して、自分の利き手に合ったものを選んでください。店頭で買う場合は、お店の方に「右利きです」と伝えれば間違いありません。

週1回しか使わない人が「鋼」の出刃を買ったらあかん理由

ここが一番伝えたいところです。

出刃包丁を買おうとすると、「鋼(はがね)」「ステンレス」の2種類が出てきます。一般的な出刃包丁は鋼を使っています。

鋼の包丁は、粘りがあってよく切れます。これは間違いありません。料理人の方が使っているのもこちらが多いです。

ただ、鋼には大きな欠点があります。錆びるんです。

手入れをしていないと、ほんまにあっという間に錆びます。毎日包丁を使う料理人の方や、研ぐのが趣味みたいな人であれば、毎日手入れをするので問題ありません。

でも、私らみたいな素人はどうでしょう。船に乗るのは月に何回か。週1回使うか使わないかという頻度です。そういう人が鋼の出刃を買うと、次に使おうとしたときに錆びています。

使用頻度が高くない人ほど、ステンレスモリブデン鋼の出刃を選んだほうがいいです。

ステンレスモリブデン鋼は、料理人の方が使う包丁にも採用されている素材です。切れ味も十分にありますし、何より錆びにくい。釣った後の手入れがラクです。

この間、妻が釣ってきたイカを捌いてくれたときも「めっちゃ捌きやすかった」と言うてました。料理を毎日する人から見ても、使いやすい包丁ということやと思います。

15,000〜18,000円と聞くと「最初にしては高いな」と思う方も多いと思います。私もそう思いました。

でも、トータルで考えると絶対にコスパはめっちゃいいです。安いものを買って、切れずにストレスを溜めて、結局買い直すくらいなら、最初から長く使えるものを買ったほうが安く済みます。それに釣った魚だけやなく、スーパーや市場で買った魚も捌けます。使う機会は思っているより多いです。

まな板を木に変えた理由:妻に叱られました

正直に書きます。

木のまな板を買ったきっかけは、妻に叱られたからです。

以前はプラスチックのまな板を使っていました。というより、妻が普段の料理で使っているまな板を、そのまま借りて釣った魚をさばいていたんです。

青物やマダイの頭を落として、中骨を断つ。出刃でガンガンいきます。そうやって何回か使っているうちに、気がついたらまな板の表面が傷だらけになっていました。

当然、怒られました。

さらに「魚の匂いが付いてる」という指摘までもらいました。返す言葉がありません。

それで木のまな板を買った、というのが正直な経緯です。読者の方には私と同じ失敗をしてほしくないので書いておきます。釣った魚をさばくなら、まな板は分けたほうがいいです。

釣った魚専用にしている木のまな板と出刃包丁
今使っている木のまな板。400×200mm、ホームセンターで買いました

使ってみたら、木のほうが理にかなっていました

叱られて仕方なく買い替えたわけですが、使ってみるとそもそも木のほうが釣った魚に向いていました。理由は2つあります。

1つめは、滑らないこと。プラスチックのまな板は、さばいている最中に魚が滑ることが多々ありました。血や脂で濡れた魚がツルッといくと危ないですし、うまく刃が入りません。木のまな板に変えてから、これがかなり減りました。

2つめは、衝撃を吸収してくれること。青物やマダイの頭や中骨を断つときは、出刃に力を入れて叩くように切ります。このとき、木のまな板のほうが衝撃を吸収してくれます。プラだと硬い音がして跳ね返る感じがありますが、木は受け止めてくれる感覚があります。

包丁にとっても、手にとっても、こっちのほうがラクです。

ちなみに素材はホームセンターで買った木製というだけで、樹種までは正直はっきり覚えていません(4〜5年前に買ったもので、記憶が曖昧です)。なので「この木がいい」とは書きません。まずは木製であること、それだけで十分に違いが出ます。

木のまな板の手入れ|4〜5年使ってカビも黒ずみもゼロ

「木のまな板は手入れが大変ちゃうん?」と思う方も多いと思います。私も買う前はそう思っていました。

結論から言うと、4〜5年使って、カビも黒ずみも匂い移りも一度も出ていません。やっていることは特別なことではありません。

毎回やっている5ステップ

  1. 中性洗剤をつけたスポンジでしっかり洗う
  2. 流水でしっかり流す
  3. 仕上げにまな板全体へ熱湯をかける
  4. 水気を拭き取る
  5. 室内の風通しのいい場所に立てかけて陰干し

これだけです。3の熱湯が効いていると思っています。

しばらく使わないときは、完全に乾燥させてから新聞紙に巻いて保管しています。

それでも「ヒビ」だけは入ります

ここは、以前の仕事で教わった話です。

木製のまな板は、安価なものでも高級なものでも、側面にヒビはどうしても入ります。

理由は、まな板の側面にある「木口(こぐち)」から水分を吸収したり放出したりしているからです。表面よりも木口のほうがヒビが入りやすい。

簡単に言うと、木製のまな板は呼吸しているとイメージすると分かりやすいかもしれません。

ヒビを完全には防げませんが、極力抑えたいのであれば、こうすると違います。

  • 使用前に、表裏を軽く濡らしておく
  • 使用後は水またはぬるま湯で、魚の血や脂を先に流す
  • 洗剤とたわしで、表裏だけでなく側面も洗う
  • 乾いた布で、側面まで拭く
  • 直射日光や熱風を避け、木目を縦にして立てる
  • 片面だけが乾かないよう、風が両面に通る状態にする

ただし正直に言うておきます。ここまでやっても、ヒビが入るときは入ります。木ですから。

私のまな板も、表面には魚の頭や中骨を断ったときの削れ(傷)が残っています。反りは今のところ出ていません。もしカビや黒ずみが出たときは、そこまで高いまな板ではないので、買い替えを検討するつもりです。無理に延命するものでもないと思っています。

木製のまな板(厚み3cm以上が目安)

私が使っているのはホームセンターで買った400×200mmの木製です。型番までは分からないので、こういうタイプ、という参考として置いておきます。

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砥石は買っておいたほうがいい(切れ味やなく「安全」の話)

私は#1000の砥石を1つ持っています。台のないシンプルなもので、4〜5年前に3,000〜4,000円くらいで買いました。

研ぐタイミングは、青物やマダイを数匹さばいたらです。魚を何匹か下ろすと、はっきり切れ味が落ちます。そのたびに研ぐと、切れ味が全く違います

イカだけの場合は、魚と違って骨を断つことがないので、たまに気が向いたらでええと思います

そして、砥石を勧める一番の理由はこれです。

切れ味が悪い状態で捌くと、手こずって逆に手を切ります。

切れない包丁のほうが危ない、というのは本当です。力を入れて押し込むから、滑ったときに止まらない。安全のために研ぐ、という感覚を持っておいてほしいです。

高いものは要りません。ホームセンターやネットで売っている2,000〜3,000円くらいの#1000の砥石で十分です。

#1000の砥石

私のは道具屋筋で買ったもので、メーカー名を失念しました。2,000〜3,000円くらいの#1000であれば十分です。

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ウロコ取りは「あったほうがいい」です

もう1つだけ、ウロコ取りの話をさせてください。

私も最初は持っていませんでした。ペットボトルの蓋でウロコを落としていたんです。ネットで「蓋で代用できる」と見たので、それでいけると思っていました。

結論、しんどいです。

まず、背びれでよく指を切ります。ウロコを落としている最中に手が滑って、背びれに当たる。気がついたら指が血だらけになっていました。何回もやりました。

しかもこれ、釣りから帰ってきた後の作業です。船に何時間も乗って、車を運転して、体力が残っていない状態でやるわけです。そこでペットボトルの蓋と格闘するのは、マジでしんどかったです。

木の柄が付いたウロコ取り
今使っているウロコ取り。これがあるだけで下処理が全然違います

ウロコ取りを買ってからは、捌きやすさが断然変わりました。ウロコがきれいに落ちるのはもちろん、指を切らなくなったのが何より大きいです。

これも高いものは要りません。ホームセンターに売っている安いもので十分です。

ウロコ取り

ホームセンターの安いもので十分です。1,000円前後で買えます。

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これから買う人へ|予算は「包丁に寄せて、まな板は安く」

もし今から揃えるなら、私はこの配分を勧めます。

道具おすすめ予算のめやす
包丁堺孝行 イノックス出刃 150mm(ステンレスモリブデン鋼)15,000〜18,000円
まな板ホームセンターの安価な木製。できれば厚み3cm以上2,000〜4,000円
砥石#1000。台なしでOK2,000〜3,000円
ウロコ取りホームセンターの安いものでOK1,000円前後

ポイントは、まな板にお金をかけるより、ええ包丁に予算を回したほうが絶対にいいということです。

まな板は最初、ホームセンターの安いもので十分です。木製であることと、できれば厚み3cm以上あること。この2つだけ見ておけば大丈夫です。今後予算に余裕ができてきたら、ヒノキなどのいいまな板を買えばいいと思います。

包丁は逆です。ここをケチると、切れない・錆びる・買い直す、で結局高くつきます。

次に欲しい1本は柳刃(刺身包丁)です

最後に、私がいま欲しいものの話をさせてください。柳刃包丁(刺身包丁)です。

出刃1本で刺身も引けています。引けていますが、もっと薄く切って、もっと美味しく刺身を食べたいという欲が出てきました。

以前の仕事で、青木刃物製作所さんや、お客様だった料理人の方から「短冊から刺身にするなら柳刃がええ」と教えてもらいました。実際、柳刃で切ると刺身の味が変わります。ほんまに美味しく感じるんです。

理屈としてはこういうことです。

  • 出刃は包丁の断面が分厚いので、ミクロで見ると身の繊維を潰しながら切っている
  • 柳刃は刃が薄いので、繊維を潰さずに一度に引き切れる

出刃でも使えなくはありません。でも、切り口が変わると味が変わる。これは食べ比べると分かります。

もし気になったら、今度お寿司屋さんのカウンターに座って、板前さんの手元を見てみてください。魚を一匹から三枚に下ろすときは出刃、短冊から刺身にするときは柳刃、ときっちり使い分けているのが分かると思います。

……ということで欲しいのですが、今は予算がないのでまだ買えていません。買ったらまた記事にします🦑

よくある質問

Q. 家にある普通の包丁(三徳とか牛刀)ではあかんのですか?
A. 小さい魚やイカなら切れなくはないです。ただ、青物やマダイの頭や中骨を断つのは無理があります。出刃は骨を断つために刃を厚く作ってある包丁なので、そこが決定的に違います。無理に断とうとすると刃こぼれの原因になります。

Q. イカだけなら出刃じゃなくてもいい?
A. イカは骨がないので、正直そこまで選びません。ただ、私は出刃1本でやっていて不便を感じたことはないです。1本で魚もイカもいけるなら、それが一番ラクやと思います。

Q. 左利きなのですが、普通の出刃は使えませんか?
A. 使えなくはないですが、片刃なので刃がまっすぐ入らず身が斜めに切れます。左利き用がちゃんと売られているので、そちらを選んでください。右利き用に比べて種類は少なめですが、あります。

Q. 刃渡りは150mmで足りますか?
A. 家庭で扱うサイズの魚(アジ〜マダイ、中型の青物くらい)なら150mmで足ります。もっと大きい魚を頻繁に扱うなら180mmという選択肢も出てきますが、そのぶん取り回しは重くなります。

Q. まな板は釣った魚専用にすべき?
A. 分けることを強く勧めます。私は妻のまな板を傷だらけにして叱られました。匂いの問題もあります。

Q. ウロコ取りは無くてもいけますか?
A. ペットボトルの蓋でも落とせなくはないです(私がそうでした)。ただ、背びれで指を切ります。釣りから帰ってきてヘトヘトの状態でやる作業なので、1,000円前後で買えるなら買っておいたほうがラクです。

Q. 砥石は最初から買うべき?
A. 買っておいたほうがいいです。切れ味のためというより、切れない包丁は危ないからです。

最後に

道具の話は、突き詰めるとキリがありません。でも釣った魚とイカを家でさばくだけなら、出刃1本と木のまな板と砥石、そしてウロコ取りで足ります。ここは自信を持って言えます。

そのうえで、包丁だけはちょっとええものを選んでみてください。手入れがラクになって、下処理の時間が短くなって、釣りから帰ってきた後がしんどくなくなります。持って帰ってからが本番ですからね🦑


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