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イカメタル

【締めません】イカメタルで釣ったイカの保存方法|生け簀→沖漬け→冷凍まで実際の全工程

【締めません】イカメタルで釣ったイカの保存方法|生け簀→沖漬け→冷凍まで実際の全工程

イカメタルで釣れた夜って、めちゃくちゃ嬉しいんですけど、家に着いたあとに「で、これどうすんの?」ってなりませんか。

クーラーの中にケンサキイカが20杯。時計は朝の8時。眠い。でも放っておくわけにもいかん。

この記事では、宮津・舞鶴でイカメタルをやっている私(カビラ)が、釣ったイカを実際どう持ち帰って、どう保存しているかを、船の上から食卓まで時系列でぜんぶ書きます。

先に正直に言うと、私はイカを締めていません。ネットで調べると「イカは目と目の間を刺して締める」と必ず出てきますが、イカメタルの現場では、正直それどころやない夜があるんです。

そのあたりも含めて、きれいごと抜きで書きます。

この記事でわかること

  • 私がイカを締めていない理由(と、締めたい人向けの締め方)
  • イカを白濁させない持ち帰り方(ここだけは絶対に外せません)
  • 冷蔵は何日、冷凍は何週間もつのか
  • 冷凍は「丸ごと」より「ワタを抜いて薄く」のほうがいい理由
  • 厚生労働省・食品安全委員会の資料で確認したアニサキス対策の正確な条件
  • 自分ちの冷凍庫が何℃まで保証されているかの調べ方(★マークの見方)
  • 「イカは冷凍すると甘くなる」は本当なのか(調べたら意外な結果でした)
  • 私がやらかした保存の失敗談

先にお断りしておきます

この記事にはアニサキス(食中毒の原因になる寄生虫)の話が出てきます。数字は公的機関の資料を確認して書いていますが、「この方法なら絶対に安全」という保存方法は存在しません。少しでも不安があるときは、生で食べずにしっかり加熱してください。また、体調に異変を感じたときは自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。小さいお子さん・ご高齢の方・妊娠中の方に生で食べさせる場合は、より慎重にお願いします。

まず全体の流れ:船の上から食卓まで

細かい話に入る前に、私の実際の流れを時系列で並べておきます。ここを頭に入れてから読んでもらうと分かりやすいと思います。

タイミングやること
釣ってすぐ(船上)締めずに、船の生け簀にポンポン入れる
合間・帰港前(船上)生け簀から手づかみでジップロックへ。沖漬けの醤油をドバドバ入れて密閉
クーラー(船上)板氷を入れたクーラーボックスに、袋ごと入れる
深夜0〜1時帰港。近くの道の駅で仮眠(クーラーは空調の効いた車内)
翌朝帰宅。イカは一旦そのまま冷蔵庫へ
片付け後道具を片付けてシャワー→着替え→やっと下処理(ワタ抜き)
冷蔵3日以内に食べる分はチルド室へ
冷凍食べきれない分は冷凍。1〜1.5週間で食べる
おすそ分け釣れすぎた日は両親・義理の両親・親戚・ご近所へ

釣り方そのものが気になる方は イカメタルのシャクリ方イカメタルの誘い方5パターン をどうぞ。この記事は「釣れたあと」の話だけに絞ります。


① 船の上:私はイカを締めていません

釣ったら生け簀にポンポン入れるだけ

船に生け簀(海水が循環している魚を活かしておく水槽)が用意されている場合、私は釣ったイカをそこにポンポン入れていくだけです。締めません。

船の生け簀の中で泳ぐケンサキイカ
釣ったイカは締めずに生け簀へ。時合いはこれが一番早いです(写真はイメージ)

理由はシンプルで、時合いのときに締めてる時間がもったいないから。

イカメタルは、来るときは連発します。船中がバタバタしはじめて、隣の人が次々に上げてる。その状況で1杯ずつ丁寧に締めてたら、その間に時合いが終わってしまいます。生け簀に放り込んで、すぐ次を投入する。これが正直なところです。

ここ、他のサイトにあまり書いてない話です。ネットで「イカの締め方」を調べると出てくる記事の多くは、エギングのアオリイカが前提です。アオリイカは1杯が大きくて数が出ない釣りなので、1杯ずつ丁寧に締めるのが理にかなっています。でもイカメタルは一晩で20杯、30杯と釣れることがある釣り。同じやり方はそもそも成り立ちません。

それでも締めたい人へ:一般的な締め方

「やっぱり締めたい」という方のために、一般的に紹介されている方法も書いておきます。

イカの急所は目と目の間(眉間)のやや上にあります。ここにイカ締めピックやナイフを刺します。中型〜大型は2か所刺すのが基本とされています。

  1. 眉間のやや上から、胴のほうへ斜め45度に刺す → 胴が白く変われば成功
  2. 同じ位置から、今度は足のほうへ刺す → 頭と足も白くなれば完了

「白く変わったら締まったサイン」という点は、釣具店・釣りメディア・遊漁船のどこを見ても共通しています。ここは覚えておいて損はないです。

⚠️ 実は「締めるべきか」は意見が割れています

正直に書きますが、締めるべきかどうかは、はっきり決着がついていません。

立場言い分
締めるべき派生きたまま持ち帰るとストレスで鮮度が落ちる。暴れて墨を吐き、他のイカを汚す
氷締めで十分派潮氷(海水+氷)に入れれば冷たさで即死する。イカは魚と違って赤い血がなく血抜きが不要なので、締めの効果は魚ほど大きくない

食べ比べを試した個人ブログはいくつかありますが、「締めたほうが明らかにおいしい」という公的・学術的なデータは、調べた範囲では見つかりませんでした。

なので「締めへんとアカン」とも「締めても意味ない」とも、私は言い切りません。生け簀がある船なら締めなくても問題なく持ち帰れてる、というのが私の実感です。

墨は勲章です

「墨で大惨事になったことある?」とよく聞かれますが、私は大惨事になったことはありません

イカを釣ってると、たまに墨を掛けられます。顔にかかることも、シャツに飛ぶこともあります。でも気にしてません。あれは勲章やと思ってます😂

ただし服装だけは対策を。白いシャツやお気に入りの服で行くと、さすがに悲しいことになります。黒っぽい服か、汚れてもいい服がおすすめです。生け簀がない船の場合は、釣ってすぐバケツやザルの上で墨を吐かせてからクーラーに入れると、他のイカが墨で汚れるのを防げます。


② 持ち帰り:ジップロック+沖漬けの醤油+板氷

いちばん大事なルール:真水に触れさせない

持ち帰りの話で、これだけは絶対に外せないというルールがあります。

溶けた氷の「真水」に、イカを直接触れさせない。

理由は浸透圧です。イカが水を吸ってしまい、身がブヨブヨに膨らんで白く濁ります。見た目も落ちるし、味も水っぽくなります。

ここは調べたどのサイトでも例外なく一致していました。「イカ 持ち帰り」でいちばん大事なのはこれ1点と言ってもいいくらいです。

⚠️ 「潮氷にドボン」派と「浸けない」派が真っ二つ

で、その先が割れます。

立場言い分
潮氷に浸ける派
(遊漁船に多い)
海水+氷の「潮氷」にドボン。急速に冷えるし、墨も洗い流される。水温10℃前後がベスト
浸けない派
(釣具店に多い)
真水はもちろん海水にも長く浸けないほうがおいしく持ち帰れる。長時間浸けると身が水を吸って白濁し、硬くなる

どっちも一理あるので、初心者の方は迷うと思います。そこで両方のいいとこ取りになる折衷案を紹介します。

いちばん無難なやり方(折衷案)

イカをジップロックなどの密閉袋に入れて閉じ、その袋ごと氷や潮氷で冷やす。これなら「しっかり冷える」「真水が入らない」「他のイカの墨で汚れない」が全部同時に成立します。袋に入れる前にキッチンペーパーで軽く包むと、さらにドリップを吸ってくれます。

私のやり方:袋に沖漬けの醤油をドバドバ

で、私が実際にやっているのがこれです。

釣りの合間や帰港前に、生け簀からイカを手づかみで取り出してジップロックに入れ、そこに沖漬けの醤油をドバドバ入れます。あとは袋を閉じて、コンビニで買った板氷を入れたクーラーボックスに放り込むだけ。

イカ専用の沖漬けの醤油のボトル
船に持ち込んでいる沖漬けの醤油。これを袋にドバドバ入れます

つまり持ち帰りと沖漬けを同時にやってしまう方式です。

沖漬けのタレとイカを入れたジップロック。イカの墨で真っ黒になっている
袋の中はイカが吐いた墨で真っ黒。これが袋で仕切る理由です(他のイカが汚れない)

袋の中を見てもらうと分かりますが、イカが吐いた墨で真っ黒です。これがそのままクーラーの中にぶちまけられてたらと思うと……袋に入れる意味、ようやく分かってもらえると思います。

これ、自分ではなんとなくやってたんですが、今回いろいろ調べてみて理にかなってたんやなと分かりました。

  • 袋が密閉されているので、溶けた氷の真水がイカに触れない(=白濁しない)
  • 袋で仕切られているので、他のイカの墨で汚れない
  • 板氷でしっかり冷える
  • おまけに帰るころには沖漬けができている

ただし後述しますが、沖漬けには安全面で一つ大事な注意点があります。これは私自身が今回調べて反省したことなので、あとでまとめて書きます。

私が使っているクーラーボックス

参考までに、私が使っているのはダイワのライトトランク α S 3200(32L)です。

ダイワのクーラーボックス ライトトランクα S3200(32L)
私が使っているダイワのライトトランクα S3200(32L)。イカメタルならこのサイズで足ります

イカメタルなら、32Lあれば十分です。板氷を入れて、ジップロックの袋を並べて、それでも余裕があります。自重4.6kgと軽いので、港での積み下ろしもラク。フタに座れるのも、船で意外と助かります。

ラベルの「KEEP 76」って何?
ダイワ公式 によると、これはJIS規格の簡便法で計算した保冷力の目安です。外気40℃の部屋に、容量の25%分の氷を入れて8時間放置し、残った氷の量から「氷が溶けきるまで何時間か」を換算した数字。つまりKEEP76なら約76時間の換算値です。ただしダイワ自身が「実際の保冷時間とは異なる」と注記しているので、製品同士を比べるための目安と考えるのが正しいです。

帰港が深夜、帰宅は翌朝という現実

宮津・舞鶴のイカメタルは夜の釣りなので、帰港が深夜0〜1時ごろになります。

私はそこから運転して帰るのではなく、近くの道の駅で仮眠をとって、翌朝に帰宅しています。眠いまま高速を走るより、そのほうが安全なので。

その間、イカは空調の効いた車内のクーラーボックスの中です。つまり釣ってから家に着くまで、けっこう長い時間クーラーの中にいることになります。

ここは真似する前に条件を確認してください

仮眠を挟むと保冷時間が長くなるので、氷は多めに入れてください。私はコンビニの板氷を使っていますが、夏場の車内は空調を切ると一気に温度が上がります。エンジンを切って寝る場合は、クーラーボックスの保冷力がそのまま勝負になります。心配なら板氷を2本にする、保冷力の高いクーラーを使う、日陰に停める、といった対策をしておくと安心です。


③ 帰宅後:まず冷蔵庫。下処理はシャワーのあと

家に着いたら、私はまずイカを一旦そのまま冷蔵庫に入れます

釣りから帰った直後って、道具は積みっぱなし、体は潮でベタベタ、正直しんどいです。そこで無理して下処理を始めても雑になるので、

  1. イカを冷蔵庫へ(とりあえず冷やす)
  2. 道具を片付ける
  3. シャワーを浴びて着替える
  4. 落ち着いてから冷蔵庫のイカを出して下処理

この順番にしています。先に冷やしてしまえば、あとは自分のペースでいいというのが気楽でおすすめです。

トレーの上に置かれた沖漬けのジップロック
帰宅後はトレーに乗せて冷蔵庫へ。袋が破れてもタレがこぼれません
まな板の上に置かれた下処理前のケンサキイカ
シャワーを浴びて落ち着いてから、やっと下処理。ここでワタを抜きます

ワタは抜いたほうがいい(理由は2つ)

下処理ではワタ(内臓)を抜きます。理由は2つあります。

理由1:内臓はいちばん傷みやすい
これはどのサイトも一致しています。ワタが入ったままだと保存できる日数が短くなります。

理由2:アニサキスが身のほうへ移動することがある
内閣府 食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 〜アニサキス〜」(2025年1月)には、こう書かれています。

漁獲後に内臓等に寄生していたアニサキスが、鮮度の低下や時間経過とともに筋肉(可食部)内へ移行する場合があるので、速やかに内臓を取り除くことや、内臓周りの腹身を取り除くことも食中毒予防対策として有効

つまりワタを早く抜くこと自体が、そのままアニサキス対策になるということです。これは知っておいて損はないと思います。

正直に言うと、面倒な日は丸ごと冷凍してます

とはいえ、釣れすぎた日は本当に面倒くさいです。20杯30杯を全部さばくのは、寝てない体にはなかなかこたえます。

なので私は、数が多い日は何杯かはワタも抜かずにそのまま冷凍庫に入れています。時間と体力が残っているときだけ、ワタを抜いてから冷凍する感じです。

ただし、これは調べてみるとあまり良くないやり方でした。理由は次の冷凍の章で書きます。


④ 冷蔵保存:3日以内。1日置くと甘く感じる

刺身で食べるなら3日以内

冷蔵で刺身にするなら、3日以内が一つの目安です。4日目あたりから匂いが出てきたという報告が多く、私の感覚とも合います。

項目目安
刺身で食べる期限3日以内
保存する場所チルド室(約0〜1℃)またはパーシャル室(約-3℃)
ワタ抜く
下ごしらえ水気を完全に拭く → 部位ごとにラップ → 保存袋で空気を抜いて密閉

水気を完全に拭き取るのがけっこう大事です。ここが甘いとドリップ(水分)が出て、味も落ちるし匂いも移りやすくなります。キッチンペーパーで包んでから袋に入れると、ドリップを吸ってくれるのでおすすめです。

ケンサキイカを名指しで調べた研究があります

調べていて面白かったのが、「ケンサキイカの鮮度保持に対する氷温貯蔵の効果」(日本家政学会)という研究です。

-2℃(氷温)と4℃(冷蔵)で48時間まで比べたもので、結果はこうでした。

  • -2℃のほうが見た目の色の変化が抑えられ、鮮度の指標(K値)の上昇も抑えられた
  • ただしうま味成分(遊離アミノ酸)の量には、はっきりした差は出なかった

ケンサキイカを名指しした研究なので、我々にはかなり参考になります。要するに「より低い温度で保存するほど、見た目と鮮度は保てる」ということ。チルドやパーシャルを使う意味はちゃんとある、ということですね。

「1日置くと甘い」は本当?

私の実感としては、1日置いたほうが甘く感じます。そのかわり歯ごたえは少し落ちる感じ。釣ったその日はコリコリ、翌日はねっとり甘い、というイメージです。

ただし正直に書くと、この「甘くなる」を科学的に裏づける明確なデータは見つけられませんでした。上の研究でも、うま味成分の量に大きな差は出ていません。

「そう感じる人は多い(私もそう)。でもはっきり証明されてるわけやない」——ここは、そのくらいの温度感で受け取ってもらうのがいいと思います。


⑤ 冷凍保存:丸ごとより「ワタを抜いて薄く」がいい

私は1〜1.5週間で食べきります

冷凍したイカを、私は1〜1.5週間以内には食べるようにしています。2週間を超えたものは、刺身にせず焼くなどして加熱調理します。

調べてみると、冷凍の保存期限は情報源によってかなりバラバラでした。

保存のしかた言われている期限
生のまま冷凍(一般的な料理サイト)2〜3週間
ジップロックなど密閉袋約1ヶ月
真空パック半年〜1年

幅がありすぎて、正直どれが正解とも言えません。家庭のジップロックなら1ヶ月を上限の目安に、おいしく食べたいなら2週間以内——このあたりが現実的な線かなと思います。

冷凍したイカが入ったジップロック
冷凍したイカ。私はここから1〜1.5週間以内に食べきります

イカは、実は冷凍に強い

ひとつ安心できる話も。全国いか加工業協同組合「イカ学Q&A60」には、こう書かれています。

イカの筋肉は水に不溶の筋原繊維タンパク質含量が高く、凍結しても組織が痛まないので、冷凍に向いている

つまりイカは他の魚より冷凍向きということ。冷凍を過度に嫌う必要はないです。

冷凍焼けを防ぐ手順

  1. 水気を完全に拭き取る
  2. ラップで、空気が入らないようにピッチリ密着させて包む
  3. 密閉袋に入れて、できるだけ空気を抜く
  4. 金属トレー(アルミなど)の上で凍らせる(熱が早く逃げて急速冷凍に近づく)
  5. 使う分ずつ小分けにする(解凍したものを再冷凍しないため)
  6. 袋に日付を書く

特に小分けは地味に効きます。まとめて凍らせると、食べるたびに全部解凍することになって、結局まずくなります。

「丸ごと冷凍」より「ワタを抜いて薄く」がいい理由

さっき「面倒な日は丸ごと冷凍してる」と正直に書きましたが、調べた結果、これは変えたほうがいいと分かりました。理由は次のアニサキスの章で詳しく書きますが、先に結論だけ言うと、

丸ごとのまま凍らせると、イカの中心まで冷えるのに時間がかかります。味の面でも安全の面でも、ワタを抜いて、胴とゲソを分けて、できるだけ薄い状態にしてから冷凍したほうが有利です。解凍後にすぐ使えるという実用的なメリットもあります。

ジップロックに入れて冷凍したイカを平らに寝かせた状態
できるだけ平らにして凍らせると、中心まで早く冷えます

おまけ:冷凍したイカは皮が剥きやすい

これは実際にやってみて気づいたことなんですが、冷凍したイカは皮がめちゃくちゃ剥きやすいです

生のときは指が滑ってイライラする皮が、冷凍を経ると気持ちよくスーッと剥けます。凍るときに氷の結晶ができて、皮と身の間が少し離れるからやと思います。

「さばくのが面倒やな」という日は、いっそ冷凍してしまうのもアリです。これは自信を持っておすすめできます。


⑥ 解凍:常温はアカンかった(私の反省)

ここも正直に書きます。

私はこれまで、空調の効いたキッチンに数時間置いて解凍し、解凍できたら冷蔵庫へというやり方をしていました。

ところが調べてみると、常温での解凍は推奨されていません。温度が上がっている時間が長くなるぶん、細菌が増えやすいからです。ドリップも出やすく、味も落ちます。

今まで何も起きていないのは事実ですが、特に夏場は真似しないほうがいいと思ったので、私も今後は冷蔵庫解凍に切り替えます。

解凍のしかた時間の目安向いている用途
冷蔵庫で解凍半日〜1日いちばんおすすめ。刺身ならこれ
半解凍のまま切る包丁が入りやすく、身も崩れにくい。刺身に最適
氷水解凍(袋ごと約15分急ぐとき。品質も保てる
流水解凍(袋ごと5〜10分加熱調理する場合

やらないほうがいい解凍

  • 常温に置く … 細菌が増えやすい(私の反省点です)
  • 電子レンジ … 加熱ムラで一部が煮えてしまい、食感が壊れます
  • 袋から出して直接水につける … うま味が水に流れ出て、水っぽくなります。必ず袋ごと
  • 再冷凍 … 味がガクッと落ちます。だから小分け冷凍が大事なんです

🦑 アニサキス対策:ここだけは正確に書きます

ここがこの記事でいちばん大事な部分です。読み飛ばさないでください。

釣り人向けの記事では「-20℃で24時間冷凍すればOK」とよく書かれています。私もそう覚えていました。でも公的な資料を読んでみたら、その理解では足りないと分かりました。

厚生労働省が示している条件

厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」および厚生労働省 広報には、こう書かれています。

冷凍(-20℃で24時間以上)または加熱(70℃以上(瞬時)もしくは60℃の場合は1分)

そして、こちらも極めて重要です。

一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません

予防のポイントは「鮮度」「目視」「冷凍/加熱」の3つ。新鮮なうちに内臓を取り除き、白い糸のようなものを見つけたら取り除き、そのうえで上の冷凍・加熱条件を満たす、ということです。

⚠️「庫内温度」ではなく「中心温度」です

ここが今回いちばん驚いた点です。内閣府 食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 〜アニサキス〜」(2025年1月)に、マサバを使った実験の結果があります。

庫内温度-20℃で24時間」保管した場合には、一部の虫体が生存したが、「マサバの中心温度が-20℃に到達後に庫内温度-20℃で24時間」保管した場合には、すべての虫体が死滅する

つまり冷凍庫を-20℃にして24時間放り込んでおけばいい、という話ではありませんイカそのものの中心が-20℃になってから、さらに24時間という意味です。

⚠️ だから「丸ごと冷凍」は不利です

同じ資料のニシンの実験では、丸のままは-20℃で24時間冷凍しても幼虫が動いており、48時間でようやく全滅。一方皮なしの切り身(厚さ1.5〜2cm)は-15℃より低い全ての条件で死滅したとあります。

この差は「厚み」です。丸ごとだと中心まで冷えるのに時間がかかる。それだけの話ですが、影響は大きいです。

この記事でいちばん伝えたいことです

イカも同じで、丸ごと凍らせるより、ワタを抜いて胴とゲソを分け、できるだけ薄く開いた状態で冷凍したほうが、はるかに確実です。私自身、面倒なときに丸ごと冷凍していたので、ここは反省して直します。

⚠️ 家庭の冷凍庫は「-20℃」を保証していません

もうひとつ、実用上いちばん大事な話です。自分の家の冷蔵庫を調べたので、写真つきで書きます。

冷蔵庫の銘板(品番などが書かれたプレート)に、「冷凍室の記号」という欄があります。

Panasonic NR-E430V-Wの銘板。冷凍室の記号が星3つ、上段冷凍室の記号が星2つと記載されている
我が家の冷蔵庫の銘板。「冷凍室の記号」と「上段冷凍室の記号」で星の数が違います

我が家はパナソニックの NR-E430V-W。よく見ると冷凍室は★★★、そして上段冷凍室は★★同じ冷蔵庫の中に等級の違う冷凍室が2つあるんです。恥ずかしながら、今まで見たこともありませんでした。

この★はJIS規格で決まった等級で、シャープ公式「冷蔵庫 商品選びのポイント」に一覧があります。

記号食品の温度保存期間の目安
★★(ツースター)-12℃以下約1ヶ月
★★★(スリースター)-18℃以下約3ヶ月
★★★★(フォースター)-18℃以下(★★★と同じ)約3ヶ月

※フォースターは「もっと冷たい」という意味ではありません。温度は★★★と同じで、違うのは凍らせる力(急速冷凍の能力)のほうです。

厚労省の基準は「-20℃で24時間以上」。でも家庭用冷凍庫が保証しているのは「-18℃以下」までです。

つまり-20℃に届いているという保証は、どこにもありません。実際は-20℃を下回っているかもしれませんが、それを確かめる手段がメーカーの表示には無い、というのが正確なところです。

だからこそ、釣り人や料理好きの間では「家庭用の冷凍庫なら48時間以上」という目安が広く言われています。足りない温度を時間で埋めよう、という考え方ですね。

ただし「48時間」は公的な基準ではありません。公的な基準はあくまで「-20℃で24時間以上」です。48時間は家庭用冷凍庫の性能を見越した実務的な目安であって、根拠のレベルが違います。

⚠️ どの引き出しに入れるかも大事です

そしてもう一つ。上段の冷凍室(★★)はメインの冷凍室とは別物です。パナソニック公式FAQにこうあります。

冷凍室はほとんどがフォースターですが、クーリングアシストルームや新鮮凍結ルーム、上段冷凍室はツースターです(中略)通常の冷凍室よりも1〜2℃程度高い設定になっています(中略)-18℃以下での保存が必要な冷凍食品の保存には向きません

結論:イカを凍らせるなら、上段ではなくメインの冷凍室(★★★の引き出し)へ。メーカー自身が「-18℃以下での保存が必要なものには向かない」と書いている区画に入れるのは、アニサキス対策として明らかに不利です。なお「★★の区画は-12℃」ではありません——実際の温度帯はもっと低いのですが、-12℃以下しか保証されていない、というのが正確な言い方です。

皆さんも一度、自分ちの冷蔵庫の銘板を見てみてください。思ってたのと違うかもしれません。実際の温度が気になる方は、冷凍庫用の温度計(数百円)を入れておくのが確実です。

⚠️ 目視には限界があります

「よく見て取り除けば大丈夫」と思いがちですが、過信は禁物です。内閣府 食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 〜アニサキス〜」(2025年1月)にはこうあります。

キャンドリング検査法では切り身に存在する線虫の7〜10%しか検出されず、(中略)十分ではない

キャンドリング検査は、光を当てて透かして見るプロの検査方法です。そのプロでも7〜10%。家庭の台所での目視は当然それ以下と考えるべきです。目視は「やらないよりマシ」だが「これで安全とは言えない」。この温度感が正しいです。

迷ったら焼く。これが最強です

いちばん確実なのは加熱です。内閣府 食品安全委員会「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル 〜アニサキス〜」(2025年1月)によれば「60℃では数秒で、70℃以上では瞬時に死滅」。国際基準(Codex)では「中心部の温度が60℃で1分間」とされています。

私も2週間以上冷凍したイカは加熱調理にまわしていますが、結果的に理にかなっていたということですね。

ケンサキイカの寄生率について

「ケンサキイカはアニサキスが少ない」とネットでよく見かけますが、裏づける公的な数値データは、調べた範囲では見つかりませんでした。出どころは個人ブログやまとめサイトが中心です。

厚労省はアニサキスが寄生する魚介類としてイカを明記していますし、食品安全委員会の資料にも海外の調査でイカの身からアニサキスが見つかったという記載があります。「少ないと言われているが、ゼロではない」——これが正しい理解です。イカの種類は イカメタルで狙う3種のイカ入門 にまとめています。

🙇 沖漬けについて、正直な反省を書きます

ここまで書いてきて、私自身が反省したことがあります。

冒頭で書いたとおり、私はジップロックに沖漬けの醤油を入れて持ち帰り、それをそのまま生で食べていました。何年もそうしてきましたし、幸い今まで何も起きていません。

沖漬けのイカが入ったジップロックが複数並んでいる
釣れた日は袋がこの通り。小分けにしておくと後がラクです

でも、厚労省がはっきりこう書いています。

食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません

つまり沖漬けのタレに一晩漬けても、アニサキスは死にません。2時間でも、3日でも同じです。「醤油に漬かってるから大丈夫」は、残念ながら成り立ちません。

これは知らずにやっている人がかなり多いと思います。私もそうでした。沖漬けは「保存が効く食べ方」ではあっても、「安全になる食べ方」ではないということです。

対策は簡単で、漬け終わったら、食べる前に冷凍を挟むだけです。

  • 家庭用冷凍庫なら48時間以上を目安に
  • できればワタを抜いて薄くしてから冷凍したほうが確実
  • 不安なら加熱して食べる(沖漬けを焼いてもめちゃくちゃ美味いです)

沖漬けは冷凍しても味が落ちにくいですし、むしろ冷凍を経ると皮が剥きやすくなるというメリットもあります。ひと手間増えるだけなので、私も今後はここを挟むことにしました。

皿に盛り付けたイカの沖漬けとハイボール
これが目的地。ここまで来たら、あとはハイボールがあればええです🦑

今まで書いてきたことを自分で否定するみたいで、ちょっと格好悪いんですけど。知らんかったことは知らんかったと書いたほうがええやろなと思ったので、そのまま載せます。


「イカは冷凍すると甘くなる」は本当なのか

ここ、調べていていちばん面白かったところです。

「イカは冷凍したり寝かせたりすると甘くなる」——よく言われますよね。私も実感としてはそう思っています。

そして、その理由としてほぼ全てのサイトがこう説明しています。

ATPが分解されてイノシン酸(うま味成分)に変わるから

ところが、これを調べてみたらイカには当てはまらないことが分かりました。

イカは、魚とは違う道をたどる

横山芳博・坂口守彦「魚介類筋肉の死後におけるATPの代謝とその周辺」という学術論文の中に、こう書かれています。

すべてにIMPおよびAdRを経由する分解系があると考えられるが、魚類ではIMP経路が主であり、頭足類ではAdR経路が主である

用語をやさしく言い換えると、こうなります。

  • IMP = イノシン酸(うま味成分)
  • AdR = アデノシン(うま味成分ではない)
  • 頭足類 = イカ・タコの仲間

つまり、魚は寝かせるとイノシン酸が増えるけど、イカは違う道をたどるのでイノシン酸がほとんど溜まらないということです。

「寝かせるとイノシン酸が増えて旨くなる」は魚の話であって、イカの話ではなかったんですね。

じゃあイカの甘みは何なのか

全国いか加工業協同組合「イカ学Q&A60」によれば、イカの甘みはもともと含まれている遊離アミノ酸(グリシン・アラニン・プロリンなど)によるものです。

そして先ほどのケンサキイカの研究では、保存によって遊離アミノ酸の量に顕著な差は出ませんでした

よく言われる説調べた結果
冷凍・熟成すると甘くなる❌ 明確な裏づけは見つからず。「イノシン酸が増えるから」という説明は、イカでは成立しない
冷凍すると柔らかくなる⚠️ 氷の結晶で組織が壊れるので、物理的には起こりうる。ただし「コリコリ感が減る」=好みが分かれる
イカは冷凍に強い(劣化しにくい)✅ 業界団体が明言している。これは事実

で、結局どうなん?

誤解してほしくないんですが、私は「冷凍したら不味くなる」と言いたいわけではありません

実際、私自身が「1日置いたほうが甘い」と感じていますし、同じことを言う釣り人はめちゃくちゃ多い。イカが冷凍に強い食材なのも事実です。

ただ、その理由としてよく語られる説明は、イカに関しては間違っている。そして「甘くなる」こと自体、はっきり証明されてるわけやない

そこは正直に知っておいたほうがええかなと思って書きました。美味しいと感じるならそれが正解。ただ「科学的に証明されてる」と人に言い切るのは、やめといたほうがよさそうです😅


私の失敗談:刺身用のイカが、全部焼かれていた

保存の失敗というと、水っぽくなったとか冷凍焼けとか、そういう話を期待されると思うんですが。

私のいちばんの「あちゃー😭」は、これです。

数日寝かせてから刺身で食べようと思っていたイカが、ある日ぜんぶ焼かれていました。

ショックを受けている人のイラスト
刺身を楽しみにしていた日の気持ち(イラストはイメージ)

犯人は妻と義理の母です。悪気はまったくありません。むしろ善意です。

釣りをしない人からすると、「刺身は釣った当日に食べないとアカン」という認識なんですよね。だから「もう何日も経ってる、危ない、火を通してあげよう」となる。ものすごく真っ当な判断です。

数日寝かせてから刺身で食べる、という方法があること自体を知らなかっただけなんです。

それ以来、「これは俺が刺身で食べるから、触らんといて」と事前にちゃんと伝えるようにしました。付箋を貼っておくのもいいと思います。

これ、地味にめちゃくちゃ大事です。釣り人は自分の頭の中で「このイカは3日目に刺身」と計画を立てていますが、その計画は家族には見えていません。冷蔵庫は家族の共有スペースなので、「これは刺身用」「これは加熱用」と書いた紙を貼っておくだけで、悲劇はかなり防げます。


釣れすぎた日は、配ります

「そんなに釣って食べきれるの?」とよく聞かれますが、うちは家族5人、育ち盛りの子どもが3人いるので、数日で余裕で消えます😂

それでも余る日はあります。そういうときは、

  • まず冷凍にまわす
  • それでも多い日は近所に住んでいる両親、義理の両親、親戚、ご近所におすそ分け

釣った魚を配れるのって、釣りをしてて良かったなと思う瞬間のひとつです。喜んでもらえると単純に嬉しい。

ただし、人に渡すときは一言添えてください。自分で食べる分には自己責任ですが、人に渡すとなると話が変わります。「生で食べるなら早めに」「不安やったら焼いてね」「小さいお子さんには火を通して」——このくらいは伝えておいたほうがお互い安心です。生食用として渡すなら、渡す前にこちらで冷凍を済ませておくのがいちばん親切やと思います。


よくある質問

Q. 生け簀がない船のときはどうすればいいですか?

釣ってすぐバケツやザルの上で墨を吐かせてから、ジップロックなどの密閉袋に入れて、袋ごと氷で冷やすのがおすすめです。直接氷に当てたり、溶けた水に浸けたりしないよう仕切るのがポイントです。

Q. 締めないと味が落ちませんか?

「明らかに落ちる」というデータは見つかりませんでした。私は生け簀のある船では締めずに持ち帰っていますが、味に不満を感じたことはありません。ただし意見が割れている論点なので、気になる方は締めてください。

Q. 冷凍したイカを刺身で食べても大丈夫ですか?

むしろアニサキス対策としては、冷凍を経たほうが安全側です。ただし条件があって、ワタを抜いて薄くした状態で、家庭用冷凍庫なら48時間以上が目安。丸ごと24時間では足りない可能性があります。

Q. 沖漬けは何日漬けますか?

2時間ほどの浅漬けから、一晩、3日ほどしっかり漬ける人までさまざまです。私は帰宅までの時間でそのまま漬かっている感じになります。ただし生で食べるなら、漬けたあとに冷凍を挟んでください

Q. 冷凍したイカは、どのくらい日持ちしますか?

私は1〜1.5週間で食べきり、2週間を超えたものは加熱調理にまわしています。密閉袋なら1ヶ月を上限の目安と考えるのが無難です。

Q. 家の冷凍庫が何℃か、どうやったら分かりますか?

冷蔵庫の銘板(品番が書かれたプレート)にある「冷凍室の記号」の★の数で、保証されている温度が分かります。★★★なら-18℃以下、★★なら-12℃以下です。ただしこれは「その温度より冷たい」という保証であって実測値ではないので、正確に知りたいなら冷凍庫用の温度計を入れてください。

Q. アニサキスを見つけたらどうすればいいですか?

その部分を取り除いてください。ただし目視で見つけられる割合には限界がある(プロの検査でも7〜10%)ので、「1匹取ったからもう安心」とは考えないほうがいいです。不安なら加熱してください。


まとめ

長くなったので、大事なところだけまとめます。

場面結論
船の上生け簀があるなら締めなくてもいい。時合いは投入優先
持ち帰り真水に触れさせない。密閉袋に入れて、袋ごと氷で冷やす
帰宅後まず冷蔵庫。落ち着いてからワタを抜く
冷蔵刺身なら3日以内。チルドかパーシャルで
冷凍ワタを抜いて薄くしてから。1〜2週間で食べきる
解凍冷蔵庫解凍か半解凍。常温・レンジ・再冷凍はNG
アニサキス冷凍は-20℃で24時間以上(家庭用なら48時間以上が無難)。加熱なら70℃以上醤油・酢・塩・わさびは効かない
冷凍庫銘板の★を確認。★★★の引き出しへ。★★の上段冷凍室は避ける

今回いろいろ調べてみて、自分がなんとなくやってたことに、ちゃんと理由があった部分と、普通に間違ってた部分の両方が見つかりました。

ジップロックに入れて板氷で冷やすのは正解やったけど、沖漬けをそのまま生で食べてたのと、常温で解凍してたのはアカンかった。長いことやってても知らんことだらけやなと、正直けっこう反省しました。

せっかく苦労して釣ったイカです。最後の最後で「持ち帰り方を間違えて美味しくなかった」とか「お腹壊した」とかになったら、あまりにもったいない

この記事が、その日の夜に検索してくれた誰かの役に立てば嬉しいです🦑

最後にもう一度だけ

この記事は私の実体験と、公的機関の資料をもとに書いていますが、「絶対に安全」という保存方法はありません。少しでも不安があるときは生食を避けて、しっかり加熱してください。また、食後に腹痛などの症状が出た場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。小さいお子さん・ご高齢の方・妊娠中の方については、より慎重な判断をお願いします。

この記事で参考にした資料

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